年金はいくらもらえる?
計算方法や公的年金シミュレーションの活用について解説

「将来、年金はいくらもらえるのか」と不安に感じたことはありませんか。毎年届くねんきん定期便の金額を見て、「この数字で本当に足りるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。


50歳以上の方向けの定期便に記載されている金額は「現在の加入条件が60歳まで継続する」という前提での試算です。


転職や昇給、働き方の変化によって、実際の受給額は大きく変わる可能性があります。


本記事では、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」や「ねんきんネット」を使って、あなたの年金額を試算する方法を詳しく解説します。


自分の将来を具体的な数字で把握して、安心できる老後への備えを始めましょう。

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目次

    「公的年金シミュレーション」が資産形成の第一歩

    厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和6年度における国民年金と厚生年金の平均受給額は以下の通りでした。

    制度 平均年金月額(総数) 平均年金月額(男) 平均年金月額(女)
    国民年金
    (老齢年金)
    59,310円 61,595円 57,582円
    厚生年金保険
    (第1号)
    150,289円 169,967円 111,413円

    ※ 参考:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

    ただし、老後の生活設計を考えるとき「年金の平均受給額は月15万円程度」といった一般的な数字だけでは、実際の準備には不十分です。なぜなら、年金額は個人の働き方や収入によって異なるためです。

    老後資金を用意するための第一歩は、あなた自身が受け取れる公的年金額を正確に把握することです。

    この土台が明確にならなければ、貯蓄や私的年金である企業型DCやiDeCoで、いくら準備すべきかという目標も立てられません。

    厚生労働省の「公的年金シミュレーター」や日本年金機構の「ねんきんネット」を活用すれば、自分専用の試算が簡単にできます。

    早い段階で「不足額」を知れば、時間を味方につけた長期的な投資戦略が可能になります。

    現役世代こそ、シミュレーションを通じて具体的なゴールを明確にすることが重要なのです。

    ねんきん定期便の「数字」だけでは不十分な理由

    ねんきん定期便の「数字」だけでは不十分な理由

    毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」には、これまでの年金加入実績が記載されています。

    50歳以上の方向けのねんきん定期便には受給できる年金額の見込みも記載されていますが、この数字をそのまま将来の受給額と考えるのは危険です。

    なぜなら、定期便の試算は「現在の加入条件が60歳まで継続する」という前提で計算されているためです。

    実際には、転職・独立・昇進による昇給・定年延長といったライフイベントによって、年収や年金の加入期間は変動します。しかし、定期便ではこうした将来の変化が一切反映されません。

    さらに、50歳未満の方が受け取る定期便に記載されているのは、将来の見込額ではなく「これまでの加入実績に基づく年金額」です。

    例えば30代の方であれば、あと30年以上加入が続くにもかかわらず、これまでの加入実績に応じた年金額しかわかりません。

    正確な老後資金計画を立てるには、定期便の数字だけでなく、将来のキャリアプランを反映したシミュレーションが不可欠なのです。

    ※ 参考:日本年金機構「『ねんきん定期便』の様式(サンプル)と見方ガイド(令和8年度送付分)

    【実践】自分の公的年金シミュレーションを行う

    ここからは、実際に自分の年金額を試算できる2つのツールを紹介します。

    どちらも無料で利用でき、パソコンやスマートフォンからいつでもアクセスできます。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った方法を選びましょう。

    厚労省「公的年金シミュレーター」を活用する

    厚生労働省が提供する「公的年金シミュレーター」は、将来受け取れる公的年金(老齢年金)の目安額を誰でも簡単に把握できるツールです。

    ねんきん定期便に印字された二次元コードを読み取るだけで、すぐに試算できる手軽さが魅力です。

    スマートフォンのカメラで二次元コードを読み取ると、これまでの加入実績が自動的に反映されます。

    その後、何歳まで働くか、何歳から受け取るかなどをスライダーで調整するだけで、将来の受給見込額がグラフで表示される仕組みです。

    このツールでは、「65歳以降も働いたら?」「繰り下げ受給を選択したら?」といった複数のシナリオを視覚的に比較できます。

    繰り下げ受給とは、年金の受け取り開始を66歳以降に遅らせることで、「繰下げ1ヶ月あたり0.7%」の割合で受給額を増やせる制度です。

    例えば、65歳で年金額が年額180万円(月額15万円)のケースで、70歳まで繰り下げると年額255.6万円(月額21.3万円)(42%増)程度まで増額します(税引き前)。

    「何歳まで働く予定なのか」「何歳から受け取るのか」をイメージしたうえで、複数のケースでシミュレーションしてみてください。

    65歳で年金額が年180万円(月15万円)のケースでは、70歳まで繰り下げることで年約255.6万円(42%増)まで増額します(税引き前)。

    ※ 参考:厚生労働省「公的年金シミュレーター

    ねんきんネットを活用する

    より詳細な試算を行いたい方には、日本年金機構の「ねんきんネット」がおすすめです。

    このサービスでは、年金加入記録の確認に加え、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定した「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」を選択することが可能で、今後の年収や働き方を細かく設定して試算できます。

    「ねんきんネット」へアクセスする際には、マイナンバーカードを利用して「マイナポータル連携」をする方法があります。

    スマートフォンにマイナポータルアプリをインストールし、暗証番号の入力とマイナンバーカードの読み取りをしたのち、年金のボタンから「ねんきんネット」を選択することでアクセスできます。

    なお、マイナンバーカードをお持ちでない場合は、従来通り「アクセスキー」の取得や「基礎年金番号」による利用登録も可能です。

    将来の働き方に不確定要素が多い方や、複数のキャリアプランを比較検討したい方は、ねんきんネットの詳細試算機能を活用するとよいでしょう。

    ※ 参考:日本年金機構「ねんきんネット

    シミュレーション結果を「企業型DC」の設計にどう落とし込むか

    シミュレーション結果を「企業型DC」の設計にどう落とし込むか

    公的年金の受給見込額が把握できたら、次は老後資金の「不足分」を明確にし、どう補うかを検討します。

    ここでは、具体的な数字に基づいた資産形成計画の立て方を解説します。

    老後の生活費と年金受給額のギャップの算出

    まず計算すべきは「年金ギャップ」です。これは、希望する老後の生活費から公的年金の受給額を差し引いた金額を指します。

    計算式は「年金ギャップ=老後生活費希望額−公的年金受給額」です。

    例えば、夫婦で月30万円の生活を希望し、公的年金が月22万円の場合、年金ギャップは月8万円となります。この不足分を、退職金や企業型DC、個人の貯蓄などで準備する必要があります。

    老後の生活費については、総務省の家計調査などを参考にしつつ、自身のライフスタイルを踏まえて設定しましょう。

    DCの役割:不足額を埋めるための「利回り設定」と「拠出額」を検討

    年金ギャップが明確になったら、貯蓄や資産運用で「毎月いくら積み立てるべきか」を逆算します。ここで重要になるのが、運用利回りの設定です。

    例えば、算出した年金ギャップが2,500万円だった場合で考えてみましょう。

    仮に現在35歳で、65歳までの30年間で2,500万円を準備する場合、貯金だけでは毎月約7万円の積立が必要です。

    一方で、企業型DCやiDeCoにおいて投資信託などの元本変動型商品を選択して運用する場合は運用成果によっては、必要な積立額を抑えられる可能性があります。

    年利3%で運用すれば月約4.3万円の積立、年利5%なら月約3.1万円で目標に到達できる可能性があります(※)。

    金融庁の「資産運用シミュレーション」を活用すれば、こうした試算が簡単にできます。運用利回りは投資商品の選択によって変わるため、リスク許容度に応じた設定が大切です。

    企業型DCの拠出額は会社が設定しますが、マッチング拠出やiDeCoを活用すれば、自己負担で上乗せすることも可能です。

    税制優遇を最大限活用しながら、計画的に資産形成を進めましょう。

    ※ 金融庁「つみたてシミュレーター」で試算
    上記はあくまでポートフォリオの一例として示したものであり、特定の商品を推奨するものではありません。

    注意!「額面」と「手取り」のギャップに備える

    年金の受給見込額を試算する際、見落としがちなのが「額面」と「手取り」の差です。

    シミュレーションで表示される金額は額面であり、実際に受け取れる金額はここから各種保険料や税金が天引きされた後の金額になります。

    この点を理解しておかないと、老後資金計画に大きな誤算が生じる可能性があるため、注意が必要です。

    年金から天引きされるお金

    年金からは、税金や社会保険料が天引きされます。

    まず、65歳以上の方全員が負担する「介護保険料」です。金額は市区町村によって異なりますが、原則として年金額を含めた所得状況に応じて決定されます。

    次に、75歳以上は「後期高齢者医療保険料」、74歳以下で国民健康保険に加入している場合は「国民健康保険料」が天引きされます。

    これらの保険料は、年金収入が年間18万円以上ある場合、原則として年金から特別徴収(天引き)される仕組みです。

    さらに、年金にも所得税と住民税がかかります。具体的には「所得税額および復興特別所得税額」と「個人住民税額および森林環境税額」が控除されます。

    一般的な目安として、年金の実質手取りは額面の約85〜90%程度です。

    例えば、額面で月20万円の年金を受給する場合、実際の手取りは17〜18万円程度になる計算です。

    この10〜15%のギャップは決して小さくありません。老後30年間で考えれば、数百万円単位の差になる可能性もあります。

    実際に使えるお金は手取り額です。額面ではなく手取り額で生活設計を考えましょう。

    企業型DCの「退職所得控除」の活用とは

    企業型DCには、税制面で大きなメリットがあります。まず、会社から拠出される掛金には所得税・住民税、社会保険料がかかりません。

    また、通常の投資では運用益に対して約20%の税金が課されますが、企業型DCでは非課税です。どれだけ運用益が出ても、利益に対して課税されません。

    受取時は課税されますが、各種控除で税負担が軽減されます。中でも注目したいのが、一時金として受け取る場合に適用される「退職所得控除」です。

    退職所得控除は、勤続年数(企業型DCの場合は加入期間)に応じて控除額が決まります。

    20年以下の場合は「40万円×加入年数(80万円に満たない場合には、80万円)」、20年を超える場合は「800万円+70万円×(加入年数−20年)」という計算式で控除額が算出されます。

    例えば30年間加入していた場合、退職所得控除額は1,500万円(800万円+70万円×10年)です。

    この範囲内であれば、実質的に税負担なしで受け取れるのです(超えた分はその2分の1が課税対象)。

    年金の手取り減少を見越した上で、こうした税制優遇を最大限活用しながら、トータルでの老後資金設計を行うことが重要です。

    まとめ

    年金の受給見込額を正確に把握することは、老後資金計画の出発点です。厚生労働省の「公的年金シミュレーター」や「ねんきんネット」を活用すれば、自分専用の試算が簡単にできます。

    シミュレーション結果から年金ギャップを算出し、企業型DCでどう補うかを検討していくことが重要です。

    ただし、年金の額面と手取りには10〜15%程度の差がある点にも留意する必要があります。

    企業型DCを活用すれば、公的年金の上乗せとなる私的年金を用意できます。

    掛金は非課税扱い、運用益が非課税になり、受取時には退職所得控除が適用されるため、税制面でメリットを得つつ資産形成を進められます。

    従業員の老後資金形成を支援する企業型DCの導入をご検討の方は、ぜひSBI証券にご相談ください。

    企業型確定拠出年金「ダイレクトプラン」であれば、加入者1名から導入でき、企業規模に関係なくご利用いただけます。

    これ一冊でOK 制度設計から運用まで徹底解説 企業型DC導入準備ガイドブック

    監修者名
    佐藤 麻衣子
    監修者プロフィール
    社会保険労務士、CFP®認定者。「ライフステージに応じた職場づくりで、企業も人も豊かに」をコンセプトに、社員の自律を促すライフキャリア研修、将来設計を支援する企業型DC導入、継続投資教育を提供。育児介護両立支援やテレワーク導入など、多様な働き方を実現するための人事労務コンサルティングにも注力している。

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    法律・会計・税制上の助言をなすものではございません。法律・会計・税制上の取扱いについては各専門家にご確認・ご相談くださいますようお願い申し上げます。
    作成日時点での情報等に基づき資料を作成しておりますが、法改正等により内容が異なる場合もございます。

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