退職金に確定拠出年金を導入するメリット・デメリットとは?
退職金に確定拠出年金(企業型DC)を導入するメリット・デメリットとは?従来の退職金制度との違いや仕組みを分かりやすく解説します。少子高齢化や人材流動化が進む中、優秀な人材の確保や定着に悩む中小企業の経営者様や人事担当者様におすすめです。
勤続4年で退職金はもらえるのか、もらえるとしたら相場はいくらなのか、転職を考える際に気になる方も多いでしょう。結論から言うと、受け取れる退職金の相場は数十万円程度です。
ただし、その金額は企業の規模や退職理由などによって大きく異なります。
そのため、最終的には勤務先の就業規則や退職金規程を確認する必要がありますが、一般的な相場や制度の知識を持つことは、転職準備や将来の資産形成において非常に重要です。
本記事では、勤続4年の退職金相場から具体的な計算方法、税金の知識、転職時の注意点までを詳しく解説します。

退職金がもらえるかどうか、いくらもらえるのかは、自社の「就業規則」と「退職金規程」の確認が不可欠です。また、退職金額は一般企業や公務員、企業規模、退職理由(自己都合か会社都合か)などによっても異なります。
勤続年数が4年の場合、退職金が支給されないケースもあるため、まず自社の規程を確認しましょう。
ここでは参考程度に、勤続年数4年の平均的な退職金について、一般企業と公務員に分けて解説します。
勤続年数が4年の退職金に関する公的データは現時点で確認できないため、勤続3年・5年のデータをもとに相場を算出します。
厚生労働省の調査によると、勤続年数が3年・5年の退職金額は以下の通りです。
| 職種、学歴、産業区分 | 勤続3年 | 勤続5年 |
|---|---|---|
| 事務・技術(総合職)大学卒 | ||
| 調査産業計 | 69.6万円 | 121.3万円 |
| 製造業 | 76.9万円 | 137.2万円 |
| 事務・技術(総合職)高校卒 | ||
| 調査産業計 | 41.7万円 | 76.9万円 |
| 製造業 | 45.5万円 | 86.0万円 |
| 生産高校卒 | ||
| 調査産業計 | 55.3万円 | 96.9万円 |
| 製造業 | 57.2万円 | 101.6万円 |
※ 参考:厚生労働省「令和5年賃金事情等総合調査」
退職金の平均的な金額は、高卒で40万~100万円程度、大卒で70万~140万円程度が相場と言えます。
また、東京都産業労働局の資料によると、東京都内の中小企業における勤続年数が3年・5年の退職金額は以下の通りです。
| 学歴 | 勤続 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
|---|---|---|---|
| 高校卒 | 3年 | 19.6万円 | 26.6万円 |
| 5年 | 39.7万円 | 51.6万円 | |
| 高専・短大卒 | 3年 | 20.9万円 | 28.2万円 |
| 5年 | 40.6万円 | 51.6万円 | |
| 大学卒 | 3年 | 21.5万円 | 30.4万円 |
| 5年 | 43.2万円 | 57.4万円 |
※ 参考:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」
中小企業の場合、高卒で10万~50万円程度、高専・短大卒で20万~50万円程度、大卒で20万~60万円程度が相場と言えます。
ただし、上表は東京都のデータであるため、他の道府県では水準が異なると考えられます。
また、退職金は勤続年数が長いことや退職理由が会社都合であることのほうが大きい金額を支給される傾向にあります。
公務員の退職金についても、勤続4年のデータがないため、「勤続年数5年未満」のデータを参考に算出します。
令和5年度において、勤続年数5年未満の常勤職員が受け取れる退職金額は以下の通りです。
| 退職理由 | 平均支給額 |
|---|---|
| 定年 | 246.6万円 |
| 応募認定 | 136.0万円 |
| 自己都合 | 26.7万円 |
| その他 | 107.2万円 |
※ 参考:内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
国家公務員の場合は、俸給月額に支給率を乗じて退職金額を計算します。
勤続年数4年で自己都合退職をした場合の支給率は「2.0088」(※)です。そのため、退職時の俸給が20万円の場合は退職金額が約40万円になります。
一方で、地方公務員の場合は、自治体ごとに定められた支給率が適用されます。勤務先の自治体によって支給額の詳細は異なりますが、国家公務員と大きな差は生じないと考えられます。
※ 参照:内閣官房「国家公務員退職手当支給率早見表」

退職金の計算方法として代表的なのが、「最終給与連動方式」「ポイント制」「定額制」です。これらの方式は退職金規程に定められており、勤続年数や退職理由に応じて支給額が決まります。
また、退職金は「退職所得」として課税対象になります。最終的な手取りは税引き後の金額になるため、税金の計算方法についても押さえておきましょう。
退職金の税金を計算する際には、まず以下の計算式を参考に、計算勤続年数に応じて「退職所得控除額」を計算します。
■ 勤続年数20年以下の場合
退職所得控除 = 勤続年数 × 40万円(最低80万円)
■ 勤続年数20年超の場合
退職所得控除 = 800万円 + (勤続年数 - 20年) × 70万円
勤続4年の場合、退職所得控除額は40万円×4年で160万円となります。つまり、勤続4年の方は退職金が160万円以下であれば税金が発生せずに全額を受け取れます。
なお、退職一時金だけでなく、企業年金(企業型DCや確定給付企業年金)を一時金で受け取る場合も同様に税金が発生する点には注意が必要です。
最終給与連動方式は、退職直前の給与(基本給)に勤続年数と役職に応じた支給率を乗じて退職金を算出する従来型の制度です。
一般的な計算式は以下の通りで、長期勤続者ほど支給率が高く設定されています。
退職時基本給×勤続年数別支給率×退職事由別支給率
自己都合退職の場合は、会社都合よりも係数が低く設定されるのが一般的です。
転職や早期退職では支給額が大幅に減少し、勤続年数が短い方にとっては不利な制度と言えるでしょう。
ポイント制は、毎年の勤務成績・役職・勤続年数などに応じてポイントが付与され、退職時の累積ポイント数で退職金額を計算する制度です。
昇給・昇進や成果が退職金に反映されるシステムで、成果主義を採用する企業で導入が進んでいます。
転職しても勤務期間中の成果相応の退職金を受け取れるため、キャリアの選択肢が広がります。
優秀な成績を収めれば、役職に関係なく退職金を増やすチャンスがある点が特徴です。
定額制は、勤続年数に応じて1年あたり一定金額が積み立てられ、退職理由による調整を経て支給される制度です。
例えば、勤続3年なら30万円、勤続5年なら60万円といったように、あらかじめ金額が決まっています。
給与や役職に関係なく、働いた年数だけで退職金が決まるため、理解しやすい制度と言えます。

退職金制度には主に4つの種類があり、それぞれ特徴や受け取り方が異なります。自社がどの制度を採用しているか、事前に確認しておきましょう。
退職一時金は、会社が退職時に一括で支払う従来型の退職金制度です。勤続年数や最終給与、退職理由に基づいて算出され、退職時に一時金として受け取れます。
多くの日本企業で長年採用されてきた制度で、会社が将来の支払いに備えて積み立てや引当を行っています。
支給額の計算方法は会社により異なり、一般的には勤続年数が長いほど支給率が高くなる設計です。また、離職理由で金額に差をつけているケースもあります。
企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が従業員のために掛金を拠出し、従業員が自分で運用商品を選択して資産形成を行う制度です。
積み立てた資金は個人の専用口座で管理され、運用結果により将来の受給額が変動します。
転職時には企業型DCや個人型DC(iDeCo)に資産を移換でき、ポータビリティ(持ち運び可能性)に対応しています。
また、例外的に以下の要件に該当する場合は継続して運用せず、脱退一時金として受け取ることが可能です。
■ 個人別管理資産額が1.5万円以下の場合
■ 個人別管理資産額が1.5万円を超える場合
企業型DCは、運用益が非課税になる税制優遇があります。転職時にも積み立てた資産を全額非課税で持ち運んで運用を継続できるため、転職をしても長期投資ができ、効率よく資産形成を進められます。
60歳以上70歳以下の規約で定める年齢に達した時から年金として受給を開始し、中途退職時には脱退一時金として受け取れます。制度によっては定年時に一時金として受け取ることもできます。
また、企業型DCとは異なり、確定給付企業年金の運用リスクは会社が負担します。従業員からすると、専門の運用機関により資産運用が行われ、約束された給付額を受け取れる安心感がある仕組みです。
一方で、加入者が主体的に運用できない点はデメリットとして挙げられます。
退職金共済制度は、会社が外部機関に掛金を拠出し、退職時に共済機関から直接退職金が支払われる制度です。
掛金は会社が全額負担し、従業員の負担はありません。代表例としては、中小企業退職金共済(中退共)が挙げられます。
退職金共済制度のメリットは外部機関による運営のため、会社が倒産しても退職金が保護される安全性があります。
勤続年数に応じて着実に積み立てられるうえに、中小企業退職金共済の場合は24ヶ月以上加入すれば掛金相当額以上が支給され、元本割れはしません。加入期間が3年7ヵ月以上になると、運用利息分が加算され、掛金納付額を上回るようになります。

退職金を受け取るには、支給条件の確認や税金の手続き、制度の引き継ぎなど複数の手順が必要です。ここでは、以下の注意すべきポイントを解説します。
勤続4年程度では支給額が少額になるか、もしくは支給対象外となる可能性があります。企業によっては「勤続5年未満は支給しない」といった規程を定めているため、事前の確認が欠かせません。
また、会社都合退職と自己都合退職では金額が変わる可能性がある点も、合わせて確認しましょう。
退職所得控除を受けるためには「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出する必要があります。
この手続きを忘れると、退職金に対して一律20.42%が源泉徴収されてしまうため注意が必要です。提出を忘れても翌年に確定申告すれば還付を受けられますが、一時的に手取り額が大きく減ってしまいます。
企業型DCや確定給付年金には「ポータビリティ(持ち運び)」の仕組みがあり、転職先の制度やiDeCoに資産を移換できます。
一方、退職一時金制度はその会社で清算されるため、引き継ぐことはできません。転職先が導入している制度によっても対応が異なるため、事前に確認しておきましょう。

企業型DCに加入している状況で転職する場合、転職先に企業型DC制度があれば、その制度に資産を移換できます。
企業型DC制度がない場合や自営業者になる場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に資産を移換して運用の継続が可能です。場合によっては企業年金連合会への資産移換も可能です。
また、企業型DCにおける退職所得控除は、掛金を拠出した期間に連動します。つまり、掛金を拠出している期間が長ければ長いほど控除額が多くなり、受取時の税負担を軽減できます。
なお、企業型DCは老後資産を用意する趣旨の制度であるため、原則として60歳まで引き出せません。解約(脱退一時金)には非常に厳しい条件があり、ほとんどのケースで解約は不可能と考えておきましょう。
そのため退職後6ヶ月以内に運用している資産の移換手続きを行わないと、資産が国民年金基金連合会に自動移換される点には注意が必要です。
自動移換されると、管理手数料が発生するうえ、資産が現金化されて管理されるため一時的に運用ができなくなります。
さまざまなデメリットが生じることから、転職または独立が決まったら、早めに移換手続きを進めましょう。
退職金の有無や金額は会社によって異なり、データをもとに算出すると、勤続4年での退職金相場は10万円~140万円程度と幅があります。
まずは自身の会社の退職金規程を確認し、どの制度に該当するのか、支給条件はどうなっているのかを把握することが重要です。
また事業主や役員、人事担当者の方で「自社の退職金制度を見直したい」と考えている場合は、こちらの資料をご活用ください。
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